タトゥーへの偏見が解消され、周囲と良い関係を築くに至った経験談です。
以前私は、外資系企業の従業員寮にて、大きなタトゥーを入れた同僚たちと同居していました。彼らの出身は様々で、アジア、北米、ヨーロッパとまちまちです。日本語はほぼ話せませんでした。
ある夏の日、同僚の一人が敷地内にて、上半身裸でリラックスタイムを過ごしていたところ、隣人から苦情の電話がかかってきました。
「タトゥーを見せるな!日本ではそれだけで威嚇にあたる!従業員をしっかり教育しろ!」
結果的には、トラブルは無事に解決しました。
苦情元の隣人たちとの関係も改善し、その企業が運営するサービスまで遊びに来てくれるようになり、差し入れを交換し合うようになりました。警察を呼ばれそうになった過去が嘘のようです。
賛否両論あるタトゥー文化ですが、課題はタトゥーとは別のところにありそうです。
タトゥーに賛成だろうが反対だろうが、私たちは本質を見抜く目など持ち得ないからです。
タトゥーによる文化摩擦を解決するには、気長に洞察力を養っていく他にないのかもしれません。タトゥーに限った課題なのではなく、「人間は色眼鏡でしか世界を見れない」という能力上の限界が病根です。つまりは、うまく付き合っていく他にありません。
トラブル勃発時の状況
その企業は決して、評判の悪い集団ではありませんでした。
豊かな自然を活用したアウトドアサービスを提供しており、地域の観光業に少なからず貢献していました。自治体のPRポスターにも起用されていたこともあり、全国的にもそれなりの知名度を持っていました。
また接客が要のビジネスのため、仕事中はタトゥーを隠すように指示されており、業務中のトラブルも一切ありませんでした。
この事例で火種となったのは、自宅の庭でタトゥーが見える格好でいたこと、それだけです。しかし、社宅は畑ばかりの田舎にあり、周辺の住人は高齢者ばかりでした。保守的な偏見が色濃く残っていたことは予想できました。
今思えば、そんな地域にタトゥーを背負った若者たちが住めば、揉め事が起こるのは当然の帰結だったのかもしれません。
差別が起きた原因、及び対策
もし過去に戻って、事前にトラブルを回避するために動けるとしたら・・
私は隣人に挨拶をして、バーベキューにでも招待するつもりです。
というのは、トラブル後にそれを実行したことで、良い関係を築けることを学習したからです。
結局の所、揉め事の原因は「得体の知れない集団として警戒されていた」ことでした。
そして事後の経過が良かったのは、「事前の悪いイメージを、良い意味で覆せた」からだと思います。不良がたまに善行をすると、やたら良い奴に見えるアレです。
つまりは、タトゥーで差別されたのも、その後仲良くなったのも、どちらも錯覚の産物なんです。
どうせ人間は色眼鏡でしか物事を解釈できないのだから、それを見越してギャップを利用した演出を仕掛ける、程度の老獪さがあれば、トラブルを未然に防ぐことが出来たはずです。
タトゥーの是非は、ぶっちゃけ何の関係もありません。
解決の決め手になったもの
トラブルがすぐに解決した決め手は、「直接謝罪をして、その後も触れ合う機会を設けたこと」にありました。
向こうからしてみれば、最初はタトゥーだらけの外国人が怖く見えたのでしょうが、関わってみたら案外フレンドリーだった訳です。きっと貴重な経験になったのでしょう。
同時にタトゥーの印象に囚われたいた己に気づき、埋め合わせとして過剰に優しくしたくなったのかもしれません。
この知見を応用して、現代におけるタトゥー問題の解決を図るとすれば、
1.タトゥーを持つイメージの悪い人物に、ホームレスへの炊き出しや野良猫の保護活動をさせる。
2.清廉潔白でお硬い人物に、あえて刺激的なタトゥーを入れてもらう。
などがあげられます。シンプルなギャップ作戦です。
要するに、タトゥーを入れた人が良い実績を重ねることが近道です。
長期的な解決には、避けて通れないハードルですね。
ま、どう転んでも錯覚なんですけど。
タトゥーではなく、認識力こそが課題?
「タトゥーの是非」という形でこの課題が語られるのは、前提からしていかがなものでしょうか。
写真の子犬のように、相手の(見た目ではなく)振る舞いを見て、接し方を決めればいいだけの話。
ふと動物を見ると、タトゥーの偏見で悩んでいる個体は一頭もいません。
まぁタトゥーを入れた人間に虐められた経験があれば、タトゥーを見ただけで怯えることはあるのかもしれません。それでも、その人物が信頼できると思えば、そのトラウマを消すことだって可能です。
せめてニンゲン様がパブロフの犬を卒業するためには・・
「私たちは世界を色眼鏡でしか見えない」という事実を、徹底的に理解する必要がありそうです。
それはタトゥー問題の解決のみならず、もっと大きな恩恵をもたらすとお約束できます。
インクをラブ注入
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