おくりびとを深読みする③「これだってご遺体だよ。」

食文化について
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映画「おくりびと」シリーズ第3弾です。注目する場面は、

フグの白子を食べながらの

「これだってご遺体だよ。」

 

山崎努さん演じる納棺企業の社長によるセリフです。

(ややネタバレが含まれます。映画を観てない方は気をつけてね!)

 

【この記事のあらまし】

・今まで食べてきたお肉はご遺体だ。でも美味しかった。
・死は特別ではない。いつも身近にあった。
・怖いけど直視できれば慣れていく。いままで肉がご遺体だと無自覚だったように。

 

 

仕事内容に耐えられず、退職を決意した主人公が社長の部屋を訪れると、そこは植物園のように生命感あふれる部屋でした。食事をしながら彼らはテーブルを囲みます。その際、好物だというフグの白子にかぶりつきながら、社長がこぼした一言です。さらに続けて、

「死ぬ気になれなきゃ食うしかない。食うならうまいほうがいい。・・・うまいんだ困ったことに。」と淡々とつぶやきます。主人公は退職を思いとどまりました。

 

 

てなシーンです。

忘れがちな事実ですね。肉は動物のご遺体です。野菜も植物のご遺体です。

 

ところで日本にはそれを思い出す習慣があります。「いただきます」の言葉です。ある調査によると、なんと日本人の9割!はそれを言う習慣があるそうです。ギョギョギョ!

言葉の意図は諸説あるようですが、食材や調理した人への感謝を思い出すため、というのが広くに認知されています。「いただきます」は世界に誇る美しい日本文化だ!めでたしめでたし。とする前に、視点を変えてもう少し考えてみましょう。

 

 

もしあなたが木の家に住んでいたり、木のテーブルを使っているならば、それは木のご遺体です。雑誌や新聞も紙でできていれば同じです。粉上のだしの素もそう。愛猫のごはんのキャットフードもそう。そこらのドアのゴムパッキンも。至る所に積もっている埃(ほこり)も身体から剥がれた細胞だったりします。空気中の水や酸素分子だって、かつてはご遺体を構成していたのかも。

つまり食べ物に限らず、世界はご遺体だらけです。

 

というか、ご遺体とそれ以外の区別ができないんです。

 

日頃 ”わかりやすい死” から隔離されていると忘れてしまいます。実際には毎日触れているのに。だから、きっと「いただきます」は定期的に思い出すための仕掛けです。食べて自分の身体に取り込むからわかりやすいし、毎日の習慣にできるから。

人間は普通に暮らしていても、常にご遺体と一緒に生活を送っているのです。その事実は別に恐ろしいことではありません。生まれた時からずっとそうで、当たり前すぎて気づかなかっただけです。

 

死を特別扱いして遠ざけなけなくなれば、日頃食べるお肉がまた違って見えてくるものです。今日もまた、ご遺体と共に生きていきましょう。困ったことに、旨いんだこれが。

 

 

 

 

ありがとうギョざいます!

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