【初心者むけ】野良猫TNRの完全ガイド!必要なモノと現場のノウハウ

ペット文化について
この記事は約15分で読めます。

野良猫のTNRのノウハウ、揃えるべきモノを紹介する記事です。

 

筆者のTNR歴は2年、こなした件数はまだ20件程度ではありますが、初心者むけに詳しい手順をシェアさせて頂きます。

 

①どんな道具をそろえ

②どのように猫を捕獲し

③どんな手順でリリースするのか?

 

一連の流れを、ノウハウをまじえて説明します。

 

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TNRとは何か?

まず、TNRとは一体なにか?

当記事をお読みの方は、おそらく既にご存知だと思いますので、触れる程度に留めます。。野良猫の繁殖を防ぎつつ、殺処分を回避する活動。

※ TNR活動とは(trap, neuter, return)の頭文字であり、野良猫を捕獲(trap)し、不妊手術(neuter,)を施し、元の場所に戻す(return)活動のこと。野良猫の繁殖を防ぎつつ、殺処分を回避する活動。

 

 

全然よくわらかない!詳しく知りたい!

という方は過去記事へどうぞ。

→ 2019/10/31 野良猫のTNR活動は、カワイイ!をテコに生命倫理を洗練させる営み

 

TNRを始める前に用意するもの

【かならず必要】

捕獲器、ニオイの強いエサ、お皿(割れないモノが良い)

【あると望ましい】

捕獲器を覆う布、踏み板を覆う板、ケージ、キャリーケース

 

それぞれの選び方を説明していきます。

 

捕獲器

 

多くの自治体で貸し出しサービスがありますので、無理に購入する必要はありません。

筆者が住む千葉県松戸市の場合 →  飼い主のいない猫対策用保護器貸出

 

1~2週間ほど無料で貸してくれるので、「庭に来る野良猫を一頭だけ捕獲したい!」といった場合は遠慮なく利用しましょう。

 

 

しかし、返却期間を気にせず捕獲に取り組みたいのなら、購入をオススメします。

筆者はこれを使っています。

熟練した方はもっと良いものを使っていますが、正直コレで不便を感じたことはありません。

作りが単純なため壊れるリスクも低く、2年近く問題なく使用できています。

 

ニオイの強いエサ

 

原則として、猫を引き寄せるためには、ニオイの強いエサが望ましいです。

準備が少し面倒ですが、から揚げや焼き魚なんかがよく利用されます。

 

筆者はコレを使用しています。

安価でニオイが強く、携帯性に優れているからです。

 

エサにマタタビを振りかけるのもよいでしょう。

但しマタタビを使うと、猫が捕獲器に身体をこすりつけ、そのはずみで捕獲器が作動してしまうことがあります。

どうしても捕獲器に入らない場合のみ、奥の手として使うことを推奨します。

 

ある程度餌付けされ、警戒心が解けている場合は、カリカリ(ドライフード)でも全く問題ありません。

 

お皿(割れないモノが良い)

捕獲器の中に、エサを入れて置くお皿です。

陶器性のお皿はNGです。

 

なぜなら、捕獲後に猫は死にものぐるいで大暴れするため、割れる可能性がある素材は猫にも人間にもケガのリスクがあります。

プラスチックや紙製のお皿を使ってあげて下さい。

 

捕獲器を覆う布、踏み板を覆う板

前述とした捕獲器 + エサ + お皿に加えて、捕獲器を覆う布、踏み板を覆う板を用意して下さい。

全部揃えるとこんな感じです。

 

そしてこのようにセットします。

 

踏み板がむき出しだと猫が警戒するため、なにかしらの板で隠すと成功率が上がります。

筆者はダンボールを敷いています。

硬い板だと捕獲時に猫が暴れた際に危ないのと、加工がカンタンで使い捨てできるからです。

 

そして最後に布で覆いをします。

猫は暗闇や密閉された空間のほうが、落ち着く習性を持っています。

 

捕獲されて暴れまわった猫も、布で覆われた空間内であれば次第におとなしくなる傾向があります。

どんな布で構わないので、捕獲器をすっぽり覆える何かを用意して下さい。

 

 

エサが置いてある側は、開けておいてOKです。

そうでないと、ニオイや視覚でエサを発見しづらくなります。

 

ケージ

 

猫を捕獲後、日をおかずに病院へ向かえるのでなければ、一度ケージに移す必要があります。

何日も狭い捕獲器の中では、さすがにカワイソウですからね。

 

それなりの広さがあるモノを用意してあげると、猫の負担が減ります。

 

子猫の場合など、即座に懐いてケージが必要がないケースもあるにはありますが、ごく稀です。

猫にとっては宇宙人に誘拐されたも同然ですので、人間と距離を保つためのケージを用意してあげましょう。

 

繰り返しにはなりますが、捕獲翌日に病院へ行けるならばケージはなくても大丈夫です。

 

キャリーケース

病院へ猫を運搬する際に必要です。

 

「ソフトケースだと食い破られるケースもある」

との理由でハードケースを推奨する動物病院もありますが、多くの病院ではどちらでも可だと思われます。

 

但し、どちらを使うにせよケースのロック機能を強化しておいて下さい。たまに脱走される可能性があります。

飼い猫と違って、野良猫はケース移動に慣れていません。

全力で暴れまわると、案外ロックが外れてしまうケースも多いようです。

 

写真の例ではハードケースの開閉口を、ガムテープで入念に固定しています。

見た目が汚いのは気にしません。

 

ソフトケースのチャックも、このように固定しておきましょう。

猫は意外と力があり、自力で開けて脱出されることもあります。念には念を。

 

またどんな方法で運搬するとしても、布などで目隠しをしてあげてください。ネコが落ち着きます。

 

捕獲~リリースまでの流れ

道具が揃ったら、いよいよ捕獲スタートです。

まずは注意点です。

猫捕獲器を設置できるのは、原則として私有地のみとなっています。例えば、公園に現れる野良猫を保護したいからといって、勝手に公園に猫捕獲器を設置してはいけません。

どうしても私有地の外に猫捕獲器を設置したい場合は、その土地の所有者に許可を取ってから設置するようにしましょう。

 

土地の所有者に許可をとったあとは、ネコが現れる場所に捕獲器を設置します。

事前に餌付けをしておくと、数や現れる時間帯が把握できてよりスムーズです。

(その場合は、トイレの片付け周辺住民からの理解を得ておいてください)

 

 

捕獲器を設置後、遠くから様子を見ていてもいいですし、一度現場から離れても構いません。

ネコが捕獲器内のエサに気づいてから、早ければ数秒で、おそくとも一時間ほどで中に入ります。

 

それ以上待ってもムダなら諦めましょう。

お腹の減り具合と捕獲器への警戒度の関係から、そのタイミングで捕まる可能性はほぼ0だからです。

 

 

しばらくして様子を見に行き、中に入っていれば成功です。

 

もしターゲットではないネコが入っていた場合は、まず耳をチェックしましょう。

既に耳カットが入っていた場合は、速やかにリリースします。

 

耳カットのない個体であれば捕獲成功です。

家に連れて帰りましょう。

 

なお筆者の場合、病院へ行ける日の2~3日前に捕獲するようにしています。

早く捕まえすぎると、ケージの中に軟禁する時間が長すぎてネコが気の毒です。

かといって病院予約してから捕獲を試みると、狙い通りに捕まらないことも多いからです。

捕獲の前段階としての餌付け具合や、周囲の協力状況などを考慮してスケジュールを調整して下さい。

 

 

病院の予約

捕獲の後は、不妊手術をしてもらう病院を予約します。

(さくらねこチケットを使う場合は、チケット申請時に設定した病院を予約)

 

なお予約の際、二種類の流れがあります。

①予約をしてから捕獲するパターン

②捕獲してから予約するパターン

 

利用する病院の予約システムや、捕獲の難易度などを考慮して決めて下さい。

 

病院へいく当日は、たいていの場合午前中に預け入れ、夕方に引き取りとなるようです。

休日を丸一日を潰すことになりますので、そのつもりでいてください。

 

その他、注意事項はさくらねこチケットに記載があります。

 

病院へ移動

当日の朝、捕獲したネコをキャリーケースに移し、あるいは捕獲器に入れたまま病院へ向かいます。

 

移動の際には、オシッコ対策にペットシーツを底に敷いておき、布をかぶせて暗くしてあげてください。

写真ではやってませんが、ブルーシートなどをキャリーケースの下に敷いておくと、車が汚れるリスクもなくなります。

 

リリース

手術をした夕方にネコを引き取ったら、すぐに元の場所に放してあげてください。

(病院の方針次第では、術後に病院か自宅で一泊を推奨されることもあります)

 

捕まえた場所でそのままリリースして下さい。一目散に逃げていきます。

これにてTNRの一連の流れは終了です。

 

猫にとってはツライ経験だったでしょうね。嫌な思いをさせてゴメンね。

 

しかし、これが人間社会と猫社会の妥協点です。

野良猫がいなくなった暁には、こんなことをする必要性はなくなります。

 

細かい注意点

 

その他、細かい注意です。

 

・TNRは本来、エサをあげる人が実施すべき

しかし、その旨を当事者に説明しても聞く耳を持たないケースが多く、やむおえず外部の人間が代行している現実があります。

もしあなたが当事者でないのにTNRを計画している場合、まずはエサをあげている方への説得を試みて下さい。

 

・うまく空腹にすることが捕獲成功のカギ

捕獲器を危険と学習したネコであっても、極度の空腹であれば捕獲器に入ります。

逆に言えば、リスクを犯して捕獲器に入る必要がなければ、いつまで経っても捕まりません。

 

可能な限りエサをやる人間と協力して、ネコを空腹にしてから捕獲を試みて下さい。

結局のところ、周囲の人間との連携が成功率を左右します。

 

・月齢3ヶ月以内の子猫である場合、里親探しも視野にいれる

これはノウハウというよりお願いなのですが、健康な子猫であれば里親が見つかる可能性は高いです。

もし可能であれば、譲渡会などへの参加を検討してみてください。ネコにとっても人間にとっても、それが最善の解決策です。

 

まとめ

 

これだけ情報があれば、はじめてのTNRを問題なくこなせるはずです。

 

しかし、他にも様々なノウハウがWEB上でシェアされています。そちらも参照して理解を深めて下さい。

あとは実地経験を積みながら、自分なりのスタイルを確立させるのみです。

 

 

野良猫問題の解決と、人間社会の死生観を洗練させることに、少しでも貢献できれば何よりです。

 

 

 

 

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