ファイトクラブせっけんの作り方と、内なるタイラーと和解する方法

人間の認識について
この記事は約10分で読めます。

映画「ファイトクラブ」には、ヒトの脂肪でせっけんを作って販売するシーンがあります。

 

当記事ではそれを再現し、手順をシェアします。

残念ながら原料はヒトの脂肪ではなく、ブタの脂肪(ラード)ではありますが。

 

「絶対に、ファイトクラブのことは口にするな!」

 

とタイラーは言いますが、私はすでに彼と和解しました。

無視して遠慮なく解説していきます。

(ネタバレありです。ご注意下さい)

 

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準備

まずは必要なモノを揃えます。

 

材料と道具

材料は以下の通りです。

左から順に

・苛性ソーダ(薬局で身分証を出せば小パックで買えます)

・香料(今回はバニラオイル)

・市販のラード(・・もし用意できるならヒトの脂肪)

・食紅(極めて重要な材料です!)

・ココナッツオイル(泡立ちを良くするため)

・精製水(純度の高い水が必要なので、水道水ではNG)

 

少しだけ道具も必要です。既にキッチンにあるかもしれません。

・プラスチックのボウル(金属は溶けるためNG)

・泡立て器

・へら

・計量器

 

 

最後に

・せっけんを流し込む型

 

形は市販のものを使ってもいいし、オリジナルを作ってみても楽しいです。

 

単にせっけんを作るだけなら、どんな型でも問題ありません。

ちなみに筆者は3Dデータごとファイトクラブせっけんの型を作りました。

 

 

 

なおタイラーのように、痩身クリニックから脂肪を盗もうとするのはやめてください。

あれは演出です。吸い取った脂肪を袋詰めで廃棄することはありえません。

 

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分量を測る

せっけん一個分をつくる際の、おおよその分量です。

お好みでアレンジしてください。

 

・ラード100g

・ココナッツオイル30g

・苛性ソーダ17.5g

・精製水45g

・食紅とバニラオイルを少々

 

分量を変える場合は、こちらのサイトが参考になります

手作り石鹸用アルカリ計算機

手作りせっけんとアロマ、ハーブのお店 Cafe de Savon様より 

 

せっけんの作り方

これにて準備完了です。

せっけん作りをはじめます。

 

材料を順に混ぜていく

順番を間違えると正しく反応しません。注意してください。

 

①計量した苛性ソーダをボウルに入れて、精製水を加えて混ぜる。

 

苛性ソーダ(劇薬なので取り扱い注意!使い方次第では手の甲にキスマークができます)

が水と反応する際、高熱とガスが発生します。80°近くまで発熱するのでご注意を。

 

あとガスに毒性はないのですが、むせるので換気しながら作業してださい。

 

②苛性ソーダが完全に溶けたら、食紅を混ぜる。

ダマが残らないようによく混ぜます。分量はさじ一杯で十分です。

なお油を加えた後で食紅を加えるとダマができます。

必ずこの時点で投入してください。

 

この食紅がファイトクラブピンクになってくれます。

ちなみに原材料がラードの場合、色素を加えなければ真っ白なせっけんになります。

 

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ひたすら混ぜる

③ラードとココナッツオイルを加えて混ぜる。混ぜ続ける。

 

計量したラードとココナッツオイルを投入したら、ひたすら混ぜます。

手混ぜだと1時間程度かかります。

 

力は必要ないので、本でも読みながらゆっくりかき混ぜてください。

温度が高いほうが反応が早く進みます。

冬場は写真のように、湯せんしながら混ぜるのがオススメです。

 

慣れてきたら、電動の泡立て器を使ってあっという間に作れるのですが、最初は手で混ぜることを推奨します。

 

最初から機械を使うと、加減がわからずに混ぜすぎてしまいます。

粘性があがりすぎる上、わざわざ手作りする喜びが半減してしまうからです。

 

タイラーが説明した古代人になったつもりで、せっけんの起源に思いを馳せながら手で混ぜましょう。

生物由来の油でつくるせっけんは、現代では高級品なのですから。

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乳白色になりツノが立つまで混ぜる

反応が進むと、色が白っぽくなって増してきます。

 

少しツノが立つ程度、このぐらいになればOKです。

 

長かった混ぜる作業も、ようやく終了です。

最後に香料を数滴入れて、よく混ぜてください。

この工程を飛ばすと無香料のせっけんになります。

 

型に流し込み成形する

前述した型は、組み立てるとこんな感じです。

固化したせっけんを取り外しやすいように、側面が分離するようになっています。

 

型に流し込みました。

あとは風通しの良い場所で、1週間くらい寝かせましょう。

湿度と温度が低い場所がよいです、真夏はせっけんづくりには適していません。

 

ちなみに、ボウルや泡立て器を洗う必要はありません。

しばらく寝かせるとせっけんに変化しますので、その後で洗ったほうが効率的です。

 

型から外し、さらに寝かせる

湿度と温度がよほど高くなければ、一週間もせずに固まります。

型から外しましょう。

 

ほぼ完成です。

 

この状態でも使えるには使えますが、まだ鹸化は不十分です。

さらに1ヶ月、できれば3ヶ月以上は風通しの良い場所で寝かせたら、ようやくベストコンディションになります。

 

 

手作りファイトクラブせっけんの完成です。

 

完成したものをお風呂で使うと、とてもさっぱりした洗い心地です。

デパートでせっけん購入したマダムたちも、まさか痩身クリニックから盗んだ脂肪でできているなんて、夢にも思わないでしょう。

ましては、金融ビルを爆破できるダイナマイトにも化けるだなんて。

 

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考察:タイラーはなぜ魅力的なのか

 

ここからは考察です。

 

筆者は「ファイトクラブ」の大ファンです。

映画版と原作小説を購入して、どちらも10回以上は観ています。

 

そこでせっけんの作り方だけではなく、作中でタイラーが表現したかったことについても、少しだけ考察してみようと思います。

 

 

 

筆者が思うに、タイラーは現代の禅僧です。

囚われた心を解き放ってくれる存在です。

だから悩める現代人に支持されたのでしょう。

 

 

タイラーは

「自己破壊こそが本当の救いだ」

と言い、実際にナレーター(エドワード・ノートン)の家を爆破しました。

プロジェクト・メイヘムを指揮して、現代文明を象徴する金融センターと、国立美術館の破壊を試みました。

 

そして物語終盤、タイラーという存在は、ナレーターのもう一つの人格であることが判明します。

 

 

タイラーは言います。

「所有していたモノに、気づいたら所有されている」

 

タイラーの言うように、現代人が執着している財産や自我なんてものは、物事の本質ではありません。

せっけんの泡のように消えていきます。

 

裏を返せば、人間は何にでもなれます。

自分を縛る、クソみたいな固定観念や執着さえ取り除ければ。

 

タイラーがコンビニで働くレイモンドに銃を突きつけて、獣医になる夢を思い出させたように・・・。

動物の脂肪がせっけんに化けたり、料理の調味料になったり、ダイナマイトになってビルを破壊するように・・・。

タイラーのように、自由に生きていけたのならば。

 

 

「自分の殻をやぶるためには、自分をまず壊すしかないようだ」

これがタイラーの存在理由です。

彼がナレーターから産まれて、暴れだした理由です。

 

もし映画「ファイトクラブ」に心を動かされたのなら、内なるタイラーが存在している証です。

彼はこちらに銃を突きつけています。

 

私たちは、レイモンドのように動き出さなければいけません。

映画を見ただけで満足しているのなら、タイラーはいつか私たちを破壊するでしょう。

 

筆者の場合であれば、生命倫理をアップグレードする仕事に取り組みます。

それこそが、内なるタイラーと和解する唯一の道だと信じています。

 

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まとめ

 

ファイトクラブのモチーフであるせっけんは、ヒトの脂肪からできています。

 

金持ちどもがたらふく飯を食い、溜まった脂肪として吸引したものを、せっけんに加工して買い戻させること、

それがタイラーのビジネス、存在理由のメタファーです。

 

誰もがタイラーを抱えていて、いつもこう願っています。

「破壊と創造はセットであり、その循環を思い出させること」

「思考のぬるま湯を出て、心のままに生きること」

「捨て去ったゴミから、本当の自分を取り戻すこと」

 

その象徴として、彼はせっけんのビジネスをしていたのです。

 

 

自らの存在価値を再発見できたならば、タイラーはこう祝ってくれるでしょう。

「明日はレイモンドの人生で、最高に美しい日になる」

「ヤツの朝飯は、いままで味わったどんなメシよりも美味いはずだ」

 

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最後に、小説版も素晴らしいよ

ちなみにファイトクラブは原作小説もオススメです。

映画ばかりが評価されていますが、原作もこれがまた面白い!

独特の文体がクセになり、言葉にできない中毒感が途切れない作品です。

映画に出てくるキレのあるセリフは、そのまま小説からの抜き出したものも多いです。

 

著者はチャック・パラニュークという作家さんなのですが、他の作品も軒並みおもしろいです。

翻訳されたものは全部読みました。

非常に優れた作家だと、自信を持ってオススメできます。

 

荒削りな魅力を放つのが、ファイト・クラブの前に執筆されたコレ。

自分の顔の下半分が、ショットガンで吹き飛ばされたモデルの話です。

 

メチャクチャな時系列で話が進んでいくのですが、バラバラだったピースが徐々にはまりだす構造になっており、カタルシスを伴う結末に繋がります。

2回読むとなお唸らされる作品です。

(絶版らしく高額です。図書館などのご利用を。あるいは英語の原書なら安価です)

 

こちらで詳しく紹介しています。

→ ファイトクラブが好きなら、インヴィジブル・モンスターズも絶対読め

 

プロットの完成度、言葉のキレで言えばこれでしょう。

集団自殺したカルト教団の生き残りが、TVでニセ宗教家としてのし上がる話です。

インヴィジブル・モンスターズと共に、映画化の話があるとかないとか。

(おなじく絶版です、、。)

 

 

そうそう。

・・「ファイトクラブ」の原作を読むと、映画版監督のデビット・フィンチャーに改めて脱帽しました。

あのイメージを、ここまで見事に映像化しきったとは!

「ファイトクラブ」は数々の才能が組み合わさって出来た、類まれな傑作と言えるでしょう。

 

 

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