バンコクで本場の闘鶏を見ました。
闘鶏は残酷だから違法にしよう!という世界中で高まっています。
しかし筆者は違和感を感じます。なぜなら、、
・軍鶏の一生は、普段食べているブロイラーよりも、明らかに恵まれているから。
・同じような問題を抱える上、規模がケタ違いに大きい競馬界では改革がちっとも進まないから。
・工場式畜産や動物実験と比べれば、ニワトリが被る苦しみはカワイイものだから。
つまり、感情的に闘鶏を禁止したところで、大した解決にはならないからです。
むしろ臭いものに蓋をするだけで、原因が何も解決されないからです。
私たちを悩ませる、不都合な真実がそこにはあります。
実態を紹介していきます。
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目次
本場タイの軍鶏専用スタジアム
まずは、闘鶏を見てきた会場のご紹介です。
名前はバンコク・コックピット。
スワンナプーム国際空港からタクシーで20分の位置にあります。
200台は入るであろう駐車場はほぼ満杯で、軍鶏とセコンドがあちこちで試合の準備をしていました。
スタジアム前にはキュートな軍鶏像。慰霊碑でしょうか。
入場料は50バーツ、200円弱(2018年1月時点のレートにて)とお手頃です。
入場門をくぐると、本日の対戦カードが目に入ります。
傍らには立派なトロフィーが飾ってあります。闘鶏がただの遊びでないことが読み取れますね。
場内では謎の薬品が売っています。栄養剤か抗生物質か、はたまたドーピング薬なのか。
観客席は3階まであり、混雑すれば最上階での立ち見になります。中央にはVIP席があり、馬主ならぬ鶏主の席なのかもしれません。
試合は1ラウンド20分制です。
最前列に座れば、目と鼻の先で試合を観戦できます。時には選手がもつれて、場外へ飛び出てくることも。
試合前の最終調整の様子です。セコンドによる闘魂注入タイム。
この会場では素手?での戦いですが、地域によっては足にナイフを括り付けて戦わせることもあります。
その場合は殺傷力が格段に上がるため、試合時間はぐっと短くなります。絵的にも凄惨になり、時には一撃で首が飛ぶことも!
※ 2020/1/23追記 人間がニワトリに殺されたケースすらあります。
キックの瞬間。
軍鶏はアウトボクサー(スキをみて攻撃するタイプ)が多く、打ち合う時間は意外と短いです。試合時間の9割を、にらみ合いと追いかけっこが占めることもザラです。
こちらは実際の動画です。グロいシーンは有りませんが、苦手な方は閲覧を控えてください。
勝者は次の試合に備え、手厚く治療を受けます。選手は試合中とは打って変わって、大人しく処置を受けています。
敗者はというと、、、即座に捌いて食べられるケースも多いとか。厳しい世界です。
闘鶏は世界的に禁止される傾向に
さて、闘鶏は日本でも以前は盛んだったものの、現在は条例やらイメージの悪化やらで、実質的に禁止されています。
先進国で禁止する例が増えているのは、動物愛護団体の力が強まっているからでしょう。スペインで闘牛が廃れたのと似ています。
禁止される主な理由は、残酷だから。
人間の娯楽のために動物を殺し合わせるなんて人にあらず!ってわけです。
私もこの流れに(大局的には)賛成です。しかし一面的な捉え方には疑問を感じます。
なぜなら軍鶏の一生は、普段食べているブロイラーよりも、明らかに恵まれているから。
世界で消費されている鶏の数は年間で五百億羽(!)とも言われ、年々増えています。
そしてニワトリは経済動物なので、飼育方法は極限まで効率的に管理されています。ニワトリの都合などお構いなしの、血も涙もない手法です。
軍鶏のQOLはブロイラーより遥かに高い
ブロイラーは極端に早く成長するよう作られた品種なので、身体の成長に内臓や骨が追いつきません。
その30%は生育過程でほぼ歩けなくなり、1%は心不全で死亡するというデータすらあります。
生後50日ちょいで出荷される若鳥なのに、肉体は不自然なまでに肥大しています。そいつが私たちにはご馳走というわけです。
コンビニで売ってるファミ〇キは、ブロイラーが過酷な生を全うした結果です。彼らが大量生産、大量消費されたおかげで、私たち人間は豊かになりました。
尚、肉ではなく卵を採るためのニワトリの場合は、オスに生まれた時点でほぼ殺処分が確定します。つまり50%の個体は、生まれてすぐにミキサーにかけられる運命です。
その光景はYou Tubeで普通に見れます。辛いけど、、、見ておくべき映像だと思います。
そして食用の鶏とは対照的に、闘鶏用の鶏は大事に愛情をかけられて育ちます。
じっくり時間をかけて、ストレスのない環境で、最高の食事を食べながら。
だって闘鶏を育てるのは楽しいし、勝ったら賞金がもらえるのだから。たぶん愛好家にとっての軍鶏は、ポケモンみたいな感覚なんでしょうね。
残酷さとは何だろう?
ブロイラーとは比較にならない程、幸せに育てられた軍鶏たち。
なのに少し戦わせるだけで残酷と非難される皮肉。
ニワトリは喧嘩っ早い生物なので、普通に飼っていても死ぬまで喧嘩するのは珍しくないというのに。
しかし、大半の人のこう言います。
「しょうがないじゃん。ニワトリは経済動物なんだから。」
「それはいいんだよ。でもブロイラーの生産がいくら残酷でも気にしないよね?
「しょうがないじゃん。食べるためなんだから。」
「食べるためなら残酷に扱ってもいいのに、戦わせて娯楽にするのはダメなの?」
「しょうがないじゃん。悪いことしてる気分になるんだから。」
「普通の屠畜だってまぁまぁキツイよ。見たこともやったこともないでしょ?」
「しょうがないじゃん。気持ち悪いんだから。」
「げ、外道! まさに人の姿をした悪魔の所業!」
まとめ
きっと今日も、世界のどこかで闘鶏が行われています。
軍鶏愛好家は大事に育てた選手が負けた場合、その場で捌いて食べてしまいます。残念だけど仕方ないと割り切っているのでしょう。
自分で育てて、自分で絞めて、自分で食べる。一通りのサイクルをこなしています。
全て自らの手で。
(※ 食品化に適さない薬品を投与された軍鶏は、食べられないため廃棄されます。生きたまま道端に捨てられるケースもあり、沖縄の一部地域では問題視されている模様です。2019/7/28追記)
一方で日本人は、闘鶏を残酷と非難するくせに鶏肉を大量消費しています。
なのに自分の手では、ニワトリ一羽捌けない人が大半です。
闘鶏を楽しむことと、何も考えずにニワトリや卵を食べること、一体どちらが地獄の鬼すら反吐吐く所業なのか、私にはわかりません。
教えてハマカーン。
バナーを無視?来世人に生まれると思うなよ!
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コメント
1年以上前の記事なので読まれるかわかりませんが。少なくとも日本国内では闘鶏用の鶏は食べられる事無く遺棄されます。
時には生きているのにゴミ袋に詰められて。
コメントありがとうございます。
マナーの悪い闘鶏愛好家が、沖縄などで問題化してるようですね。もっと多くの方が関心を持ってくれるとよいのですが、、。
しかも、誰にでも身近なブロイラーの方が、さらに厳しい生涯を送っているという、不思議な状況にありますからね。