ファイトクラブが好きなら、インヴィジブル・モンスターズも絶対読め

人間の認識について
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映画「ファイトクラブ」が好きなら、原作小説もオススメです。

→ ファイトクラブせっけんの作り方と、内なるタイラーと和解する方法

 

そして著者チャック・パラニュークの別の作品も、メチャクチャ面白いですよ。

 

 

特にインヴィジブル・モンスターズが最高です。

 

実質的にファイトクラブのプロトタイプと言える作品です。

構成や題材もよく似ており、荒削りながら勢いはこちらのほうが優れています。

(書籍は絶版のため高額です。読みたい場合は原書を買うか、図書館などを推奨します)

 

 

ネット界隈ではファイトクラブは大人気なのに、著者の他の作品が話題になることは少ないです。

これでは、あまりにもったいない。

 

その魅力を紹介していきます。

(ある程度のネタバレがあります。ご注意下さい!)

 

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どんな物語なのか

インヴィジブル・モンスターズは、顔の下半分をライフルでふっ飛ばされた女性モデルのお話です。

 

ファイトクラブと極めて似ているのは、

自己破壊を通して、飛躍的な成長を遂げる物語であることです。

 

どちらの作品にも、主人公と全く同じ顔をした他人が出てきます。

ファイトクラブではタイラーインヴィジブル・モンスターズではブランディです。

そしてどちらも銃で撃たれます。自己破壊の一貫として。

 

 

プロットも非常に似ています。

 

ファイトクラブのオープニング

→ タイラーに銃を突きつけられるナレーターの姿。

そしてなぜこんな顛末になったのか?過去を振り返っていく。

 

インヴィジブル・モンスターズのオープニング

→ 銃で撃たれたブランディを主人公が介抱しながら、死にゆく前にこれまでの経過を物語として聞かせる。

 

同じ顔の二人は、互いに憎み合い愛し合いながら、しばらく行動を共にします。

しかし、タイラーがナレーターの別人格であったように、ブランディは主人公の・・

 

といったお話です。

ファイトクラブでの破壊対象は、文明による洗脳や資本主義社会でした。

インヴィジブル・モンスターズでは、植え付けられた価値観に加え、自分の肉体までも徹底的に破壊しようとします。

もちろんただの破壊ではなく、古い自分を乗り越えるための創造的な破壊です。

 

さらにインヴィジブル・モンスターズは、時系列通りに物語が進行しません。

作者いわく

「数ページごとに広告がはさまり、理路整然とした構成がないファッション誌を参考にした」

だそうです。

 

アッチコッチへ場面が飛びながら話が進むのですが、徐々に全体像が明らかになっていくプロットは非常によくできています。

パラニューク独特の文体と相まって、読者に妙な中毒性を与えてくれます。

 

 

ちなみに、顔をふっ飛ばされた主人公の顔は、本編で丁寧に描写されています。

ビジュアルとしてはこんな感じです。

かなりグロいです。閲覧注意。

→ https://apapapa52.wordpress.com/2011/02/18/invisible-monsters-and-feminism/

 

しかし、モンスターと呼ばれる顔になった主人公は、物語の最後には崇高な気づきを得ます。

この顔になったおかげで。

それが作品のキモになります。

 

日本での認知度は伸びしろ抜群

日本語版インヴィジブル・モンスターズはレビュー数は、本記事執筆時点(2021/7/11)ではたったの9件です。

しかし、原書の英語版は1,000件以上のレビューがついています。

なんだこの差は。もったいない。

 

きっとファイトクラブの読者が流れているんでしょうね。

そりゃそうだ。実際にインヴィジブル・モンスターズも面白い作品なのだから。

 

どうして日本でも同じ流れがおこらないのでしょうか。

(書籍のカバーデザインがダサいからかも、、。)

 

重ねて言います。もったいない。

ファイトクラブが好きなら、インヴィジブル・モンスターズも絶対読め。

 

おもしろいからさ。

日本での認知度には伸びしろしかありません。

 

今後の世相次第で再評価されるだろう

 

この作品はタイトルが既にネタバレです。

「モンスター」ではなく「モンスター」と複数形になっています。

 

目に見えないのは肉体的な特徴だけではありません。

人の精神は、腹の底は決して見えません。

なのに人は、すべてが見えたつもりになっています。

 

モデル仲間のエヴィ、元恋人のメイナスのセクシャリティも、この作品の大きなカギです。

作品が出版されたのは1999年。今後は今以上に性自認やルッキズムについて、世界中で改革がすすむと思われます。

 

作中にこんな言葉が出てきます。

「わたしはうわべだけの世界にうんざりしている」

「太ってみるだけのブタ、幸せそうな家族」

 

このあたりをキーワードに、インヴィジブル・モンスターズは再注目されるような気がしています。

映画化の話もあったそうですが、どうやらポシャったようです。

 

今からでも作ればいいのに。

きっと時代が追いつきます。

 

まとめ

 

ファイトクラブはあれだけ知名度があるのに、他の作品は知られていないなんて、あまりにもったいない。

著者のチャック・パラニュークは間違いなく力のある作家です。

 

なによりも、ファイトクラブに迫るクオリティを持つ作品を、複数出版されています。

このインヴィジブル・モンスターズ以外にも、サバイバーやララバイもよくできた作品です。

 

 

「ファイトクラブのことは決して口にするな!」

とは言いますが、他の作品のことなら問題ないでしょう?

なぁタイラー。

 

然るべき作品が、然るべき人間に届きますように。

くどいようだけど、ホントにもったいないからね。

 

 

さぁライフルを構えて

 

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